恐怖の泉

実話系・怖い話「屋根裏の鳥」

私の実家は築数十年は経つという代物です。
冬は家中の窓やドアを閉め切ってもどこからか隙間風が入り込んで寒いですが、夏は北側の部屋にいると涼しい風があって快適に過ごす事が出来ます。
それでも何度か大地震を耐え、部分的には破損しましたが今でも建っています。

そんな実家の2階で私が過ごしていた、高校生くらいの時だったでしょうか。
ある日、鳥が騒ぐ声で目が覚めました。

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鳥に赤ちゃんでも産まれたのでしょうか。
ピーピーと騒がしく鳴く声は随分と近くに聞こえ、家の軒下にでも巣を作ったのかと思い、外へ出て確認したのですが…家の周辺にはどこにもそれらしい物が見つかりません。
鳥が騒ぐのは朝だけなので、まぁ害は無いし目覚まし代わりになるな~と思って、特に気にはしていませんでした。

それからしばらく経つと今度は鳴き声だけでなく、コツコツと歩き回っているような音も聞こえてきます。
その時になって初めて、鳥が家の屋根裏に住んでいるのだと気付きました。
どこから入ったのだろうと家の外から改めて確認すると、屋根の換気口が一部壊れており、そこから侵入したのだと推測出来ました。

鳥は巣立ち、いつかは屋根裏から居なくなるのでしょう。
それまでどのくらいかかるのか分かりませんが、ともあれ私達家族は追い出すといった発想は全く浮かばず、放っておく事にしたのです。

何日か経った時でした。
私が横になろうとベッドへ向かった際、頭の方にある柵で何かが動いたような気がしたのです。
え?と思って目を凝らして見ると…
そこに、小さな虫がびっしりと蠢いていたのです。

うわっ!っと思わず叫び声を上げ、部屋をよく見渡してみます。
すると、布団、机、本、ラジカセ…
部屋に置いていたあらゆる物の上部に、1mm程の虫がふりかけのように満遍なくついているではありませんか。

「何だこれ…」
思いもよらない光景に、私は絶句して鳥肌が立ちます。
特に、この世で一番安全かつ癒しの場であるはずの布団に、こんなにも無数の虫が居たとは…。
どこから来たのか、いつから居たのかに全く気が付かない自分を責めると同時に、この虫は何の虫だろうかと興味も湧きます。
そこで昔、教材の付録としてプレゼントされた顕微鏡で詳しく見てみる事にしたのです。

1匹をピンセットでつまみ、スライドガラスとカバーガラスで挟んで顕微鏡から覗き込みます。
アップで虫が目に飛び込んできて一瞬怯みましたが、恐る恐る観察すると、見覚えのある姿です。

それはダニでした。
当時はインターネットも普及していなかったので種類は判別できませんでしたが、後に調べてみると「トリサシダニ」というダニでした。
ではどこから来たのだろうかと家族で話合った結果、屋根裏の鳥に疑惑が向かいます。
実家の屋根は板を並べて張っただけなので隙間があり、ダニ程度なら容易にすり抜けられるでしょう。

そこから我が家の対応は早いものでした。
業者へ鳥の駆除と屋根の改修、侵入口となった換気口の修理を手配し、数日後には工事が始まりました。
屋根を張り替えて換気口も直し、鳥が再度侵入しないよう対策してもらいます。幸いにも鳥は既に巣立った後で殺処分される事はありませんでしたが、確かに巣が残されていたそうです。
業者の方曰く、野生の鳥にはダニが寄生しているので、それが屋根の隙間から落ちてきていたのでしょう、との事でした。
ダニは人を刺すらしく、私へ健康被害が無かったのは不幸中の幸いだったのかもしれません。
工事が終わった後は、家族総出で部屋の掃除です。
ダニという小さい虫が相手ですから、気合を入れて念入りに行い、一件落着となりました。

余談ですが、私の実家では猫を飼っています。
神経質で綺麗好きな猫で、私の布団で寝るのが日課だったのですが、鳥が屋根裏に住んでからは他の場所で寝ていたのです。
ひょっとして猫だけは、ダニが屋根からポロポロ落ちている事に気付いていたのかもしれません。

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